スポンサーリンク
透析においてもっとも大事なのは何か?
ですな。
透析を安定させるためには、「バスキュラーアクセス」が必要ですからな。
(バスキュラーアクセス:シャントやテシオカテーテルなど透析で十分な脱血を得るための血管)
もちろん、単発的な透析であれば首の太い血管から脱血するなどの方法はありますが、日常的にやり続けるには感染症のリスクも高まるために向いておりません。
また、シャント無しで透析される方もいますが、十分な血液流量が保てないという事がありますね。

「参考文献:parasite nurse yoko ishida アクセス管理シリーズ」

DSCN2343_LI


透析では針を2本刺しますけど、脱血側(血を取るほう)と返血側(血を返すほう)の2本ですからね。
特に脱血側の針は、透析で必要な血液流量が保てないといけませんからな~。
言わば、十分な血が取れない状態では透析効率が下がりますから。
通常は1分間に200mlの血液流量(QB)を脱血してますね。(おおよそ150ml~450mlまでマチマチですが)

そう言えば、今の病院で透析するようになってから、上の写真でも分かるように(写真下側)脱血側は反対方向(血流に逆らって)に穿刺してます。
針が17Gから16Gへと太くなりましたが(針のサイズは少なくなるほど太い)それだけではなく、脱血側を反対向きにしてより多くの脱血を出来るようにしてるんですな。

DSCN1958


シャント音の小さな変化に気付けるのは患者だけ

実際に透析病院では看護師さんや臨床工学技士さんが、穿刺前にシャント音を確認してると思います。
過去の病院でも、必ずそうでした。
しかしですな、医療従事者さんは他の患者さんのシャント音も聞いてますからな~。
よっぽど音に異変があれば気付いてくれるでしょうが、小さな変化程度ですと分かりませんよね。

シャント音は患者さん1人、1人、違いますからね。
毎日同じシャント音だけ聞いてるような人でないと、小さな異変には気付きにくい訳です。

例えば、心電図とかですと、前回以前の波形を記録してますので今回の心電図波形がどうだったかを見比べる事は出来ますな。

しかし、シャント音は小さな異変ですと、ほとんど直感のような感じですわな。

「すいませ~ん、シャント音の異変を感じるんですけど!」と言っても、どう異変を感じてるか表現するのは難しいですな。
明らかに変な場合は、
「いつもはヴォンヴォンという感じの音なのに、ヒュルヒュル言ってます。」と言えるし、看護師さんでもそのくらいのレベルなら1回聞いてみると「おかしいな」と感じてくれます。

でも、「いつもの音とは微妙に違う場合」などは前回以前の音と比べるのが出来ませんからね。
異変に気付ける1番手っ取り早い人は患者さん本人です。

これがね~、分かってないとシャント狭窄や閉塞を見逃しがちですな。
(血圧が低下してる時は、音が小さくなるそうです)

シャントは命ですから。
これに問題があると血液流量を保てないし、静脈圧が上がってブザーが鳴りっぱなしになりますんでね。

高齢者さんですと、血管内の血液の流れが弱いですからな。
十分な脱血がどういう手段を講じても出来ないという場合は、透析不能という事にも繋がりますよ。
よくね、高齢者さんは右手で杖を持ってる事が多いので、シャントのある左腕で荷物を持ってる人も多いですな。
そういう人がいたら、それは駄目だと教えてあげたほうが良いです。
荷物は背中に背負ったほうが良い訳ですし、持たないのが1番ですな。(シャントを作ってる人の場合)

そもそも、小さなシャント音の異変に気付く必要があるの?

「いやいや、トシさんね、小さな異変に気付かなくても、脱血不良になれば自然にPTAっていう話になりますし、そこまでしなくても良いのでは?」

ん~(-_-;)
そう来ますか。

PTAとは、経皮的血管形成術といってシャント血管が狭くなった時実施されます。
バルーンカテーテルで血管の内腔から膨らまし拡張させる方法。
PTRとは、経皮的血管再開通術といってシャントが完全閉塞した時実施されます。
ウロキナーゼで血栓を溶かしその血栓を吸引する方法。

「parasite nurse yoko ishida アクセス管理シリーズより引用」

いや、実はシャント閉塞(血管が完全に閉塞してしまい、シャントの作り直しなどの可能性がある場合など)というのは、意外にも突然やって来ますからな。

僕は現在2個目のシャントです。
1個目は透析3年で壊しました。
電車の駅で血圧低下のために失神して倒れていたんですが、その日の夜に閉塞に気付きました。
夜だったので、病院に行く気力もなくほったらかしたので、深夜に完全に詰まってしまい激痛となってました。
翌朝になってシャント音は完全になくなってました。
痛みも消えましたね。
慌てて病院に連絡し、午前中のうちに病院到着。
午後からシャント再建手術となりました。
その際に、壊れたシャントの復旧を目指しましたが、既に時遅しで出来ませんでした。

まあ、当時と今では技術も違いますのでね。
色々方法はあるようですが。
(病院によっても多少の差はありますよ。)

要は、シャント狭窄であればPTAが可能です。
単に血管が狭くなってるだけですので、内側からバルーンで膨らますのですな。

しかし、閉塞となると、事が大きくなってしまいます。
完全に詰まっている状態です。
昔と違って今はPTAができるので、シャント閉塞は起きにくくなりましたが、閉塞する時は半日かからずあっという間になる事も多いようです。(閉塞の1~2日前に微かな異変は起きてた可能性があります)

だから、少しでも早く異変を申し出ておく必要があるのですな。
PTAで治せるうちにね。

シャントを閉塞させると絶対に医師に言われますよ。
「何でもっと早く言わんかったんや!」って。

看護師さんや技士さんも怒られちゃいますのでね。
シャント閉塞はアチコチに迷惑がかかりますね。

損失を受けるのは患者

実質、シャント狭窄や閉塞が起きて1番損をするのは誰なのか? という事ですな。
わざわざ時間を割きPTAや再建手術をしてもらわなくてはなりませんし、その間、十分な血流が保てませんので、透析効率が下がります。
僕も昨年の12月に人生初のPTAを受けた際は、280の血液流量が保てず、220くらいまで下がってました。
時には180になる場合もありました。

この間、せっかく透析後クレアチニン値が4.5前後まで下がっていたのに、それが5.5とかになってましたのでね。
透析効率が悪くなると、それだけ予後にも影響する訳ですから。

データにはっきり出ますよ。

なので、早め早めに報告する必要があります。
例えば、緊急性が無い場合のPTAなどは、予約の必要などから処置が数日後になる事もあります。
そういう事も計算しておく必要がありますから。

人任せにしておくと、気付いた時はかなり遅い場合もあるんですよね。
そもそも、緊急にPTAが必要! という時は狭窄・閉塞の危険をちょっと前から放置していた! という事になる訳ですから。

シャント音に関しては患者さんのほうが最前線にいます。
透析で不具合が出るようになれば、医療従事者さんも気付くでしょうけども、それも穿刺による不具合もありますので、1回起きたくらいでは正確なところが分かりません。

早めに異変を申告しておけば、医療者さんもエコー検査などが可能です。
それによって、問題が深刻になる前に処置できる。
患者のリスクも減り、医療者さんのリスクも減る。
万々歳ですな(^◇^)

まあ、僕は病気の早期発見が最も大事と思ってますからね。
何でも、簡単な処置で治せたり維持できるのが1番有難いですから。

シャントも結構重要なのですな。
いかに透析効率を上げようにも、シャントに不具合が多いと出来ない場合もありますよ。
長く元気に透析を受け続けて行くには、シャント管理も重要なのですな。


「参考 parasite nurse yoko ishida アクセス管理シリーズ」


↓↓↓恐れ入りますがお帰り前に応援ポチをよろしくお願い申し上げます。

↑↑↑面白ブログ満載のランキングが見れますが同時に1票がはいります(*'▽')


        スポンサーリンク