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今回の長時間透析研究会で、面白い事象があった事にお気付きでしょうか?

まあ、それぞれの医師に多少の考え方の違いがあるのは、これはまあ当然ですな。
通って来た道も違いますからな。
見えるモノも違ってきます。

長時間透析のリスク

事の発端は、ブリーディングセンサーの話からすでに起きていたかと思います。

栃木県の小山すぎの木クリニック自治医科大学付属病院腎臓内科の「オーバーナイト透析にブリーディングセンサーを導入して」という興味深い演題が出ておりました。

ブリーディングセンサーとは出血感知センサーの事で、透析中の出血が起きた場合にセンサーが感知し、ブザーが鳴るというものですな。

おお!
なんかスゴイのがありますね。

しかし、結果としては発汗などでもセンサーが感知してしまいブザーが鳴るなどの誤作動もあり、改善点はまだまだありそうです。
これから改良が重ねられて出てくる技術だと思いますな。

万一の抜針事故などが起きた場合の早急な対応は重要ですからな。
そう言う意味で、多くの医療者さんが興味深く聞いておられました。

こういう事でも分かるように、「人工透析」というのは絶対安全という治療ではありません。
危険は隣り合わせではあるんですが、まあ普通は看護師さんや技士さんが近くにいますからね。
異変がスグ察知できる様々な取り組みがなされているという事です。

さて、となりますと、考え方が2分する事が分かりました。

オーバーナイト透析などの8時間透析と、一般的な4時間透析。
8時間透析を行うのは、「リスクが単純に2倍」になってしまうのか? ですな。
それを憂慮する医師と、いや、そうではない、本質的に「時間でリスクが増大する訳ではない」と考える医師がいます。

あはは(^◇^)
どっちだ(-_-;)

前者の「リスクが2倍」の方としては、オーバーナイト透析では深夜勤務のため、スタッフ数に限りがある状態である事。
などいくつかの例が挙げられました。

後者の「時間でリスクが増大する訳ではない」では、長時間透析では透析中の急激な血圧低下などの回数も減る上、透析では危険時間帯がある程度予測しやすいため(過去の経験から)、単純なリスク増大とはならないという事ですな。

ん~(-_-;)
まあ、どっちの考えもなるほどと思います。

しかし、僕も後者の意見に賛成ですな。
というのは、患者能力もあるからです。
単純な話で、オーバーナイト透析を受けるような患者さんは、元気があって人間的にもパワーのある方が多い訳です(例外もあるとは思いますが)。
むしろ、事故が起きやすいのは昼間の4時間透析でも高齢者さんですな。

例えば、僕であれば、透析中に失神した事はまだ過去1度もありません。
爆睡してましても血圧が下がると目が覚めますからな。
一方で、高齢者さんで急激な血圧低下が起き、そのまま失神していたのを何度か見た事があります。

体感の問題ですな。
オーバーナイト透析を受けるにあたっては、心不全の有無などいくつかの条項があり、危険度の高い患者さんは受けない訳ですし、どちらかと言えば若い元気な患者さんが多い訳です。
そもそも、患者能力が違い過ぎますからな。

単純に時間が延びるからと言って、単純にリスクが増えるという事ではないと思います。
もちろん、時間に関係なく、一定のリスクはあるため、どちらも安全ではありませんが。

まあ、透析を受けてても何らかの異変を患者さんが感じ取る可能性は高く、迷うことなく声をあげてスタッフさんに知らせる事が出来る方がオーバーナイト透析を受けてる訳ですな。

透析患者さんの中には、自分自身に異変が起きてると感じても、声をあげられないような引っ込み思案の患者さんもいますのでね。
そういう患者さんはむしろ昼間のほうが多い訳です。

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空気混入との戦い?

透析仲間のひつじさんの話では、透析はある意味
「空気混入との戦い」の歴史であると言います。

今回の長時間透析研究会でもマイクロバブルの話はチラホラありましたな。

ん~(-_-;)
確かに。

僕なんか、透析中は爆睡してるために、空気混入とかが起きてもスグには気付かないでしょうからな。
体調が悪くなってから気付くという場合は、すでに空気がたくさん入ってしまった後でしょう。

まあ、このマイクロバブルというのは目に見えにくい小さな気泡ですから見てて判別はつかないでしょうからな。
ある意味、驚異の存在です。

いや、昔は「エアー返血」(空気で血を送り返すため、医療者のミスで空気混入の可能性が高かった)というスタイルもありましたからな(今はやってる病院は無いと思います。一応禁止されています)。

抜針事故&空気混入は透析医療の中では2大事故と言えますからな。

怖いと言えばかなり怖い話です。

まあ、ただ、空気混入が明確に起きたという例は、僕の透析11年ではありませんでした。
抜針事故は何度も見ましたな。
昔の病院で主治医が患者の血で真っ赤になった事もありました。
大事には至らなかったものの、ある程度の確率で起きてしまうんでしょうな。

僕も寝ぼけて左腕を大きく動かしてしまった事が数度あります。(針は抜けませんでしたが)

人工透析不可能

まあ、絶対安心という事は無いんですけどね。
安心してお任せできなければ、とても透析は受けられない訳です。

しかし、そこまでザルな医療者さんは過去いなかったので、まあほとんどの医療者さんはリスク管理出来てるとは思いますけどね。

むしろ、僕の透析11年でもっとも衝撃だったのは、高齢者さんの透析中の心筋梗塞、心停止のほうにあります。
何度か、そういう事が起こり、心臓マッサージが行われている現場を見ました。
一応、全てで心拍が戻り大事には至りませんでしたが、映画やドラマのような事になっていました。

その中のある患者さんは透析中の心停止が相次ぎ、家族が呼ばれ「人工透析不可能」と判断されたようでした。
まあ、医師も透析するほうが危険度が高いため、そういう診断をするしか無かったのでしょうな。

次の透析からはその患者さんは来なくなりました。
風の噂で数日後お亡くなりになったと聞きました。

アミノ酸ロス

怖い話ばかりですいません(-_-;)
しかし、先のブリーディングセンサーしかり、透析医療ではリスク管理が結構しっかりしてますからね。
そうそう悪い事しか無い訳ではなく、そもそも生き抜く事が極めて難しい末期腎不全状態で何十年も生きられるのが「人工透析」ですからな。

ある意味、それがとてつもない医療である事が分かります。

僕らはむしろ、そちら側ではなく、患者が出来る透析療法をマスターせねばなりません。
血液のpHバランスがどうこうと言われましても、自分自身で改善できる訳ではない事が多いですからね。

今回、下門先生がアミノ酸の話をしてました。
透析を受けてて、血液検査データの中に見かけない数値があるのですな。
いや、そもそも、アミノ酸の数値なんか出てませんからな。
アミノ酸は、血液中のものと、骨格筋に蓄えられてるものがあるらしいです。
その骨格筋に蓄えられてるアミノ酸についてはGln値(グルタミン)である程度分かるという事なんですが、Gln値などは血液データの中に入ってるのを見た事がありませんからな。

しかし、透析で運動不足になり、骨格筋が落ちてしまえばそれもアミノ酸ロスにはなりますからな。
アミノ酸をどうやって蓄えるかは色々考えた方が良さそうな気もします。
「透析時間を延ばして元気になる→運動量が増える→骨格筋量を減らさない」というスパイラルはかなり有効手段とも思えますな(*'▽')

話が色々飛んでしまいましたが、透析の安全性は技術面だけではなく、栄養学にも及びます。
栄養不足で免疫力が低下し死亡リスクが高まるなどの話は、今の日本ではほとんどあり得ぬ話なんですが、透析では起きてしまいますからな。 
患者側からはこの辺りがアプローチできるのではないかと思いますな。


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