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日本に人工透析がもたらされてから、かれこれ50年近く立ちます。
僕は昭和42年生まれの48歳ですので、ちょうどその頃、透析医療が広がっていったと思います。

透析40数年という方も所々にいらっしゃいますね。

そういった方々やその時期に透析医師だった方の話を聞くと、当時はとても厳しく管理されていたようです。
まあ、当時はダイアライザー(血液をろ過する筒状のもの)の性能も今の4分の1程度だった事もありますが。

当時を知る患者さんや看護師さんも、除水量に関しては、常に厳しく注意されました、と語っていますね。

最近は除水量や増え幅などは、あんまり厳しく言われなくなってきました。

ここには明確な指標があります。

まあ、ダイアライザーや透析システムの向上も理由にありますが、それ以前の問題も多々あります。
50年近い臨床データがある訳ですから、どのような指導をするのが1番適切か、という事も分かってきてる訳です。

透析患者は精神を持ち崩す人の宝庫のように言われる事もありますね。
まあ、僕に言わせれば、治りもしない悪化傾向の病気で「ああしろ!こうしろ!」と言っても説得力が無い訳ですからね。

自暴自棄になって「いつ死んでもいいや!」みたいになられると、スタッフサイドも手の付けようがなくなりますから。
ちゃんと人を(性格を)見て厳しくしないと、返ってやる気を失わせるというデータもあります。

僕も厳しく言われるような時期もありましたからね。
毎回、透析開始30分から2時間くらいで血圧低下が相次ぎ、除水しきれなくなるという状態でした。

当時の僕の面倒を見てくれた看護師さんやMEさんは記憶に新しいと思います。
すぐに血圧60くらいまで下がっちゃうんですよね。
1度そうなると、生理食塩水を流そうが何しようが、上がらなくなってしまう。

まあ、結果的に心臓に異常があった事が明確になり、治療を始めた途端、血圧が下がりにくくなりました。

あの状況をつぶさに見てきた看護師さんたちにとっても良い経験になったのではないでしょうか?

そんな状況下で、体重を増やしていくと、やっぱり怒られますよね。

で、患者さんの精神に影響を与えるという問題と、もう一つ。

患者に厳しく接しているうちに、イジメのようになる問題もあります。
もう、口ぐせみたいになってね。

それで、「ストレス解消!」とか言って遊んでるスタッフさんがたまに出てしまい、医療側でも問題になりました。
やってくうちに、そうなる人も出ますよね。

そういう問題が時折出ていたため、患者の精神面&看護師の精神面を考慮し、「厳しく言う必要があるのか?」
という、議論がアチコチで巻き起こりました。

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昨今は、「患者の自主性にまかせよう!」という方針の病院が増えてきました。
医師は、「薬の選別」と「ドライウェイトの選定」、「合併症の有無」くらいを見て、増え幅などに対する厳しい意見は徐々に言わなくなってきています。

また、有能なMEさんもポツポツ出てきていますからね。
患者の状態を見て、正確にこの患者がどういう透析が合うかを見分けられるような人も出てきました。

2006年に制定された「高齢者虐待防止法」の影響もあります。
心理的、肉体的な虐待は報告義務があり、スタッフも患者も黙っていると罰せられる可能性があります。

また口止めなどをすれば、それも厳しく処罰されます。
そこに金品の授受でもあれば、更に罪が加算されます。

そういうのもありますのでね。
各透析施設でも、「患者の自主性」を促すやり方に変わってきてる訳ですね。

透析時間を延ばすというのも、患者の余命や健康状態に大きく影響していますので、最近は若い患者さんを中心に透析時間延長がスタンダードになりつつあります。

これによって、体調の良化、節制の軽減などで、精神面に影響が少なくなるというメリットがあります。

年配の患者さんの中には、5~6時間透析を「節制の出来ない患者がやるシステム」と勘違いしてる向きもありますが、1度やってみるとその効果の高さは実感できます。

僕も前の施設で5時間をやってもらいました。
体調の良さは確かです。
透析自体はしんどいですが、節制量が楽になる分、日常の生活に及ぼす好影響が増えましたね。

そこまで我慢しなくても、5時間透析なら3キロくらい増やしていっても、1時間600ccの除水で済みますからね。
3キロなら、結構飲み食いできます。

僕も透析10年で、10年前と今では、大きく周りの環境が変わりました。
施設や時代によって、これからもドンドン移り変わっていくんでしょうね。

透析医療従事者を目指して資格取得する人材も増えてきましたね。
精神的にしんどい仕事ですが頑張って欲しいです。

僕らも、自主性を持って頑張るしかありませんね。



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